Xindak FS-1

Xindak FS-1 が届いた。向こうの運送会社の web トラッキングがまるで役に立たないとか、「両端バナナプラグ」と念を押しておいたのにスピーカー側が Yラグのが届いたとか問題はあったが、無事手元に届いたわけだし、Yラグも問題なくスピーカーターミナルに接続できる大きさだったのでよしとしよう。

作りは立派。写真で見るよりずっと高級感がある。きしめん形態で固くないので取り回しも楽だ。で音はというと、確かに情報量は多いのだが、どちらかというと柔らかい音調で耳触りなところがない。ホールトーンや奥行き感覚の表現に優れ、オーケストラなど極めて美しく響く。変に分析的ではなくて、弦の響きを全体として綺麗に出してくれる。ロックを聴いても、たとえばバスドラの「音色」が分かるんである。膨らみもせず、タイト過ぎもせず、なるほどこういう音で録音されていたのかな、と想像できる感じ。帯域の誇張もなくてバランスがいい。これは気に入った。

MIT T2s と比べると、MIT では感じられた荒さとかちょっときつい感じがない。MIT にはやや低音の誇張が感じられるが、ジャンルによってはそっちの方がはまる場合がある。すべてにおいて Xindak の勝ちというわけではない。生ギターのストロークも、Xindak だと多少きらびやかさが勝つような感じもある。もっとも Xindak はおろしたての新品状態だからそこは割り引いて考える必要はあるが。

暫定的な結論としては、これが $130、オレのように銀行から送金するなどという誤りを犯さなければ1万5千円くらいで手に入るのなら、よほど予算が潤沢でない限り他のケーブルを買う必要はないとオレは思う。十分ハイエンドの領域だ。なにより弦の美しさは特筆もの。クラシックが多い人には特におすすめ。オレみたいな雑食性にとっても、何を聴いても破綻のない懐の深さは魅力的だ。ブルーノートしか聴かないとか、メタルしか聴かないとか、そういうのでない限りこれで不満が出る人は多くないはずだ。