ユニヴァーサルシングルアンプ

 俺もいろいろと影響されやすい質で、サンバレーさんのSV-S1616D(多極管)で様々な出力管を差し替えて遊んでいる人々を見て、そういえば自分でも何種類もの大型多極管が溜まっているなあと思い出し、それらを使えるアンプを作ってみようと思い立った。

 どうせならプレート損失を大きく取って大出力を狙いたい、同時に低歪も考える、という計画で、選択した出力トランスはソフトンのRW-40-5である。このトランスは多量のカソード帰還をかけられるので、gmの高い多極管に最適だという理由だ。また50%のULタップが出ているのでこちらでも多くの帰還がかけられることから、オーバーオールの負帰還なしでよい特性が得られるのではないかという期待もある。

 メインターゲットの出力管はTung-Sol(ロシア製)のKT-120である。KT88を大型化したような球で、プレート損失は60Wもある。また手持ちの中に曙光製のEL156もあるので、バイアスの調整範囲を広くしてこのEL156やあるいは6G-B8のようにバイアスの浅い球も守備範囲に入れる。あとはElectro HarmonixとEiのKT90があるのでこれも使いたい。かように欲張りな計画で設計したのだが、ひとまず完成して動かしてみると、まずKT120の適正バイアスが思ったより深く、当初の設計では電流が流れすぎる。とりあえずKT90を挿して調整してみたが、音がいまいち硬いし数字の上では低歪であるにもかかわらず歪っぽい。

 このような問題を電圧の調整や球の差し替え、段間コンデンサの交換などによりなんとか解決した回路がこちら。

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 初段/カソードフォロワ段は 6AN8 で、またかよ!って感じなのだが非常に使いやすい球なので仕方がない。かような回路から、出力はほぼ15Wが得られた。ゲインは26dBで、負帰還が9dBほどかかっている計算になり、DFは5くらいあるので十分だ。

 音質的には最初よりはましになったがまだ改善の余地はあるし、低域が40Hzくらいから減衰を始めるので段間コンデンサの容量を大きくすべきかもしれない。そういう点も含めてしばらく遊べそうである。

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 レイアウトに失敗して出力管と電源トランスが近すぎる。これではKT150は挿せないかなあ。