音楽の力・旅の終わり

諏訪内晶子の弾くバルトークのヴァイオリンコンチェルト1番を生で聴いて、音楽の力に酔う。諏訪内晶子は別に好きなヴァイオリニストではないが、この曲は物凄く美しく穏やかな曲なので、諏訪内の音色によく合ったのだろう。

なんでこんなことを突然書いてるかというと、オーディオも音楽の力を伝えられるものが優れているということがいいたいわけだ。回りくどい言い方だが、2ヶ月以上前に副収入が少し入ったのでアメリカのショップに頼んでいたものが漸く届いたのである。ものは Counterpoint のプリアンプ SA-3。20年以上前の機種で、メーカー自体も消滅しているのだが、当時それなりに数が出たようで、バカみたいな値段で中古が出ていることがある (もともとそれほど高価なものではないが)。それを購入したわけである。特に RIAA イコライザに定評があったようだというのが直接の動機。早速つなげて鳴らしてみる。最初はどうにもならない音で大失敗かと思ったが、30分ほど経ったら俄然いい感じになってきた。寝覚めが悪いらしい。

ノイズはまったくない。電源トランスを筐体の外に追い出してるのも効いているのだろう。音はというとなんというか、オープンでスイートで、音楽がすっと入ってくるんである。細かいところもよく出ていて、とくに空間的なイメージが喚起されるのだけど、ああなんかもうこれでいいじゃねえかと思わせる音だ。どこがどうというのではないのだけれど、明らかに今まで聴いてきたプリアンプとは違う。マイケル・エリオットはやはり天才なのかもしれない。

中を開けてみると、6DJ8 は Counterpoint のロゴ入りで、RIAA イコライザはロシア製、フラットアンプに用いられているものはハンガリー製。まだまだきれいだ。電解コンデンサは SPRAGUE の ATOM、フィルムコンは WonderCap とそれなりの部品が奢られている。まだ膨らんだりはしていないので手を入れる必要はなさそう。入出力端子は場所によって差別化されていて、フォノ入力とメイン出力はそれなりに立派な端子だが、ライン入力はひどくしょぼい端子が使われている。当時はレコードが聴ければよかったんだな。音質以前にまともにケーブルが固定されないので、手持ちの大型の端子に付け替えた。あとはボリュームが安物っぽいのでそのうち交換しよう。デザインはいいし、造りも基本的にはしっかりしている。

プリアンプを求める旅もとりあえずこれで終わり。