AD1865 NOS DAC 続き

作ってからしばらくいろんな音楽をこれで聴いているが、かなりいいと思う。おそらく I/V 変換トランスのせいで帯域は制限されているようで、決してワイドレンジではないが、反面凝縮された力強い音である。正弦波をスイープした結果で良い悪いを判断する人には向いていないだろうが。また定位が良く、よく出来た録音であればヴォーカルが中央前方にきちんと位置づけられる。構成から予想される音に近い。聴く音楽にはギターバンドが多いのだが、そういうジャンルには向いている。ベースやバスドラの音域がしっかりしてるという印象だ。

使っている部品にも回路にも中国のガレージメーカにありがちな妙なところはなく、贅沢を言えば電源の安定化にレギュレータを多用しているところは気に入らないが、全部ディスクリートだとコストや基板の大きさが嵩みそうだし、目を瞑れる範囲ではある。ただし、球を最初から変えての評価だから、付属の球では音が違うかもしれないし、デフォルトのままではゲインが大きすぎるのも明らかなので(実際にそのせいで使いにくくかつノイズが多いというレビューも見かけた)そこのところは考慮が必要かもしれない。一応負帰還を多めにかけた状態で測定してみても波形に変なヒゲは出ないし、元からある程度位相補正はかかっているので問題はないと思うが。現状ではもうちょっとゲインがあってもいいので負帰還量を減らす予定ではある。今のところグリッドに直列の抵抗が47k、帰還抵抗が150kという構成だが、後者を330kくらいにしようかと考えている。