SG-205

曙光で、SG-205 という型番でWE 205D のレプリカの球を作っている(いた?)。50 のレプリカは国内でも売られているのをしばしば見かけるが、205 は見たことがない。んでもって、それがよく使う中国のネットショップにあったのでしばらく前に買ってみたのだった。1本42ドルだったが、今はもうちょっと高くなってるようだ。

205D モドキは Full Music でも作っていたはずだが、こちらはソケットは一般的な UX が使えるようになっているものの、4.5V/1.6A というフィラメントの定格はオリジナル通りであり、データシートを見てもオリジナルとよく似た特性を有しているように見える。205D などという球は 300B 以上に入手困難であり、オリジナルを目にする機会なんてまず俺のような庶民には訪れそうにない。だから 205D を使う!というよりも、丸っこくて可愛い見た目の球を使ってみたい、という感じである。

本当は一から設計して使おうと思っていたのだが、考えついた回路が VT-62 シングルとほとんど同じだったので、そちらに小変更を加えて SG-205 を差して使うことにした。そもそも 205 と 10 系の球は性格が似ているので、単純な回路で使おうと思うと似たようなものになってしまうのは仕方のないことかもしれない。気に入らなければすぐ VT-62 に戻すことが出来る程度の変更だ。フィラメント電圧を抵抗で調整し、自己バイアス抵抗を変更して Ip を調節して動かしてみると、Ep がちょっと高すぎたので、B電源ラインの左右分流抵抗を大きくしてこちらも調節して出来上がり。

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結果として、動作点は Ep=345V、Ip=36mA、Eg=-26V くらいになった。カソードチョークドライブによる A2級動作でもあり、これでほぼ 3W 出る。ゲインが少し下がったがそれでも 25dB はあるので問題なし。DF は ON/OFF で 3.5 程だからこれも問題なし。ほとんど同じ回路で出力管だけ置き換えたわけだから音質の違いは VT-62 と SG-205 の違いと言っていいと思うが、205 の方が大分中域に寄ったマイルドな音である。まっさらの新品の球だからこれから変化もあるかもしれない。とりあえず、面白い球が実用になって満足である。