46シングルアンプ

プリアンプを急に作ったので後回しになっていたが、本来はこっちを作るつもりだったのだった。3月も後半になるといろいろ忙しくなることが予想されるので、時間があるうちにアイディアをちゃんと形にしようと思ったのだ。

たまたま安く46を4本手に入れて、かといってプッシュプルにできるほど揃ってもいないので、シングルアンプを作って出力管のスペアがある状態にしようと考えた。46というと二つグリッドがある直熱三極管で、オーディオアンプでは第二グリッドをプレートにくくりつけてA1級で動作させて45の代用品みたいな使い方をする作例が一般的だ。しかし45は45で持ってるし、せっかくパワーの取れる球なんだからそれらしく使いたい。A1級動作はB級プッシュプルのドライバとしての使い方であり、出力段ではやはり二つのグリッドを一緒にくくって、グリッド電流を流すようにしたいわけだ。そこでこういう回路になった。

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ドライバには 6N6P を使う。これは手持ちの関係で、Ep=260V くらいで Eg=15V、Ip=5mA 程度の球ならなんでもいい。5687 や ECC99 が使えるだろう。12BH7 でもいいかもしれないが、ちょっと Rp が高いので不利かも。あと 6N6P はユニット間のシールドがあって、カソードフォロワだからあんまり関係ないかもしれないが気分としてはその方がいい。初段はこれも手持ちの 6JV8 を Active Load で使う。ここは普通の五極管で構わない。

外観はこんな感じ。

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実はまだ完成とはいかず、ドライバが暴走して抵抗が燃えたり変なノイズが出たりというトラブルに対処している段階で、問題が出尽くしていないのが現状である。どうも片側の初段の具合が悪い。もうちょっと考えてみよう。

追記:どうやら、三極部のカソードと五極部のプレートをつなぐ抵抗の接触不良だったっぽい。ここを修正したら今のところ快調。ドライバについては、グリッド抵抗を 910k にしたらダメで、475k にしたら落ち着いた(上掲の回路図は修正済み)。データシートでは 1M まで大丈夫だと書いているが信用しちゃいけないな。この抵抗を小さくした分、段間コンデンサを 0.047uF から 0.1uF に変更した。

こんなんでも出力はほぼ4Wあり、OPT だけは小型ながらそこそこいいもの(SAC Thailand 製)を使ったので、低域も 30Hz で -3dB だからなかなか立派だ。上は 40kHz くらいまでだいたいフラットでいける。まだそこから上のピークを消せていない。電源トランスとチョークは一山いくらのジャンクで買ったものを塗装し直して使っている(一応ノグチとタンゴだ)し、機構部品類も解体したアンプから取り外したもの。OPT も以前使ったものの再利用だ。

音は狙い通り、ややノスタルジックな、一般的に真空管でイメージする音に近い。正しい音よりもこっちの方が楽しいな。