音楽性(笑)

よくオーディオ機器の音楽性がどうの、ということを言う人とか雑誌の記事などがあって、どうにも胡散臭い言葉だと思っている。だからと言って、「オーディオ機器にはいかなる個性も必要ない!正確に原音を再生するのが優れたオーディオ機器なのだ!」というようなことを言い募るつもりもない。ただ、結果として、音楽が楽しく聴こえたりそうでもなかったりする機械があるような気はしているのだけれど、それが何に起因しているのかが良く分からない。分からないのでいろんな試行錯誤を繰り返さざるをえないのだよね。

こないだ作った 6528 アンプだが、確かに帯域バランスは取れていて、定位がしっかりしていて、良い音だと思っている。われながらよくできた。しかし当初の興奮が収まったところでよく聴いてみると、ちとクールすぎるようにも思う。物理的にはあんなに熱いアンプなのに(笑)。ノリとか勢いとかなにか訴えかけてくるものとか、そういうどうにも定量化できない領域で何かが足りない。球のせいか OPT のせいかはたまた差動のせいかそもそもプッシュプルなのがいけないのか、他にもこのアンプを構成している要素は多々あるけれど、どういう風にすればどういうアンプになるのかを法則化できるほどの経験が俺には足りない。

メインのアンプを 808 シングルに戻してみると、確かに熱さ、説得力みたいなものが少なくとも 6528 アンプよりはある。それが何なのかを考えるために、またアンプが増えていくんだろうなあ。