五極管の話

気がつくと現用のパワーアンプの初段は五極管を使ってるものばかりだ。肆號機 1626PP の場合は 12AU6 ではあるが三結で使ってるから別にしても、弐號機(改)809 シングルでは 6AC7、伍號機 832APP では 713A、そして今回の陸號機 GU50 シングルは 403A/B/ 6AK5 といった具合だ。基本的にハイゲインなアンプが好きなので、段数を増やさずにゲインを稼ごうと思うとそれなりに gm の高い五極管を持ってくるのが手っ取り早いわけだが。もちろん次段に直接入力容量の大きい三極管を持ってくるわけにはいかないとかいうような制限はあるが、世間様の作例などを見ているとそもそもこのような球を使うという発想自体あまりないようにも思える。

この手の五極管でオーディオによく使われて高価なものには WE310A や EF86 がある。前者は 91B アンプ、後者は QUAD に使われたことが物語として流通しているのだろうか。でも 91B のオリジナルの回路図には「310A か 6C6」と書かれていたりして、ということは初段とドライバは別に 6C6 や 77 で構わないわけだよな。WE でも今回使った 403A/B はまだまだ安い。たとえば 396A が互換性のある 5670 に比べてきわめて高価なのに対し、403A/B はその他の 6AK5 とそれほど価格が変わらない。他にも 6AU6 や EF37 など、ソケットもヒーター電圧も普通なのになぜか人気が出ず、おかげで安価なままなのでオレにも使いやすい球がいろいろとある。RCA だったりムラードだったりといった人気ブランド物でもこういうのは高くならない。

オレのように経験も財力もないものとしては、目に付いた使えそうなものを使ってみるというスタンスであり、選択した要素に一般的によく言われるようなデメリットがあるかどうかがそもそもよく分かってない。結果として測定できる範囲で問題が生じず、かつ聴感上も特に悪くないなら、それでいいんじゃないかと思うんだけど。たとえば 6AU6 と EF86 って何が違うんだろう?