陸號機の測定と調整

さて、陸號機の測定をしてみた。まず歪率は 1kHz1W で 0.5% くらいで残留ノイズは 0.5mV ほど。まあまあか。出力は THD=5% で 9W 取れる。これは机上の計算値とほぼ一致する。思ったより優秀だ。ゲインが約 27dB、DF は ON/OFF 法で約4と設計目標をクリアしている。というか負帰還量から考えると DF はよすぎる。たぶん簡易測定のために高く出ているのだろう。

次に周波数特性。やはりというか、40kHz あたりを頂点に高域に山が出来ている。これが聴感上も高域の粗さにつながっていると思えたので、NF 抵抗と並列に挿入されている補正コンデンサを 1500pF から 2500pF に増量する。これで完全ではないがほとんど山を潰すことができた。出力トランスが元々あまり特性のよくないものでもあるからこのあたりでよしとしよう。

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20Hz から 70kHz くらいが -1.5dB の範囲に収まっている。これも OPT の性能からして満足すべき数字だ。オシロで一当たり波形を見ても、40kHz あたりでの小さなリンギングは消し切れていないものの大きな問題はないようである。全体として、この構成からするとかなりちゃんとしたものができたように思う。

音質はやはりレンジが広いとか情報量がいいというタイプではないが、なかなか元気で気持ちのいい音だ。まだ何となくざわざわした感はあるが、これは時間とともにある程度解決するだろう。実際、電源を入れてから時間が経つとどんどん音に深みが出てくる。どうしても出力管のバイアスが安定するまで時間がかかることと関係があるのだろう。実験的に短時間電流を多めに流してみたらその方がだいぶ音がいい。電源トランスの限界で、出力感に回せる電流が 70mA くらいが限度なのが惜しい。プレート損失は 40W もあるので、もっと大きな電源トランスでたっぷり電流を流せればよかったかなあ。