809 シングルアンプ

少し前に書いたように、弐號機 300B シングルが今一つつまらないので、一気に大改造を施すことを計画していた。そこへもってきて偶々 809 を安く入手したので、ポジティブグリッドの送信管アンプの習作として 809 アンプに変更することにした。弐號機の電源トランスでも 809 ならフィラメント電流を賄える。

回路は単純なダイナミックカップルで、809 のデータシートを睨んでいるとドライバは 6V6 の三結あたりが適切なようだ。そこで初段とドライバは弐號機のまま 6AC7-6V6GT とする。B 電圧がやや高めに出そうなので整流管を 5R4GY としてあまり高くならないようにする。809 と見た目のバランスもしっくり来るし。シャーシを含む外装とトランスはそのままだから、出力管と整流管だけ変更したような外見だが、中身は一新である。

f:id:mandana:20071203184959j:image:W400

当初初段の片方に電流が流れず往生したが、スクリーンのバイパスに使っていたフィルムコンデンサがショートしていたためで、交換したら無事動いた。当初想定したよりも 809 の Ep は高め、Ip は低めで落ち着いたが、CCS のプレート損失限界にも余裕がある程度なので問題はなかろう。ただ、球の所為で片方のハムが残る(2mV 程度)。左右の球を入れ替えるとハムが出るチャンネルも移動するので、これは出力管の所為だと考えてよかろう。交換の必要がある。無事な方のチャンネルの残留ノイズはごく少ない。もうちょっとゲインが大きいかと思ったが NF をかけた後で 24dB くらい。しかし初段にこれだけハイゲインの球を使っての結果だから、NF の余地を考えてもこれが限界だろう。

ハムの点を除けば、音は自分でもびっくりするくらい良い。10dB ほどの NFB のおかげで DF も 4 くらいは稼げているから低音がだぶついて困ることもなく、明瞭で情報量が多い。残念ながら WaveSpectra をインストールしてある PC が死亡しているので歪率や出力を測ることができないが、実用音量で問題はない(普段の音量ではせいぜい 1W くらいしか出てないと思うけど)。

というわけでダイナミックカップルの扱いもなんとかなる手応えを得たので、なんとか来年中くらいには 808 アンプに取りかかりたいものだ。もう12月だから来年のことを言っても鬼は笑わないだろう。