弐號機改造

そこで早速作業する。その際に回路自体も見直し、まず初段とドライバを直結にして時定数を減らすことで全体の安定化を図り、負帰還を少し多くする。となるとドライバには H-K 耐圧の余裕が必要なので、6V6 を三結で使用する。そして初段はあまり高くない Ep でゲインを稼げ、かつあまり Rp の高くない球が必要だから、もともとこの弐號機で使用していた 6AC7 の三結を持ってくる。トランスの載せ換えにはシャーシに新たに穴も空けなければならない。

そんなこんなで完成した弐號機。

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測定値は少し高域のロールオフが高くなり、より稼げている感じ。周波数による凸凹が少なくフラットである。この辺は James は優秀だ。残留ノイズはかなり減った。出力は今までとほぼ変わらず。負帰還は 5dB くらいにとどめ、全体の利得は 27dB くらいに落ち着いた。音はさすがに OPT と回路の変更で大きく変わり、かなりマイルドな感じになった。これは OPT の個性なのかな。ハモンドの押出しの強さはないが、ピラミッド型のバランスが取れた音である。よりハイファイっぽいというか、たぶん James はタンゴあたりを参考にして作っているのだろう。

これだけちゃんとしたトランスが台湾から直に買えば送料込みで20,000円ちょっとである。この値段だとタンゴの U-808 も候補になるが、U-808 はどっちかというと多極管向けのやや古典的なトランスで、内部抵抗の低い出力管には James の方が向いてる気がする。タンゴでいえば XE-20S に近い性格だろう。立派なケースに入ってて格好いいし(笑)。

しかしまあ、率直なところ 300B はありきたりであまり面白くない。オレの懐具合ではオリジナルはまず絶対に買えないのもマイナスだ。WE316A あたりが手に入れば弐號機も解体して主要パーツをそっちに振り向けることになるのではなかろうか。