アンプのゲイン

仕事の息抜きにアンプの回路のことなんかをつらつらと考えたりしてて、そういえば 421A PP を作ろうと思いつつトランスを買う金がないなあ、なんて溜め息をついているところだ。金はないがもうすぐまとまった時間はできるのでなにか工作はしたい。ということで有り合わせの部品を使った 1626 PP なんてものを妄想している。

で、1626 に限らずいろいろと他の人の作例をみていて思うのだが、何だってみんなあんなにゲインの低いアンプを作るんだろう。オールオーバーのゲインが 10dB もないアンプがいくらでもある。僅かな経験だが、ゲインの低いアンプだったらプリアンプのボリュームを上げればいいじゃん、という話ではなくて、元々のゲインの高いアンプでないと出ない音がある。最低 25dB は欲しいところだ。設計上の計算が簡単なのは 26dB なんでオレもそのあたりを基準に考えている。それから負帰還を 6dB かける余地も欲しいから、裸の利得で 32dB が設計目標ということになる。

もちろん残留ノイズとのバーターになるのだけど、オレは多少ノイズが残っても(耳障りな成分でなければだが)ゲインが高い方を選ぶ。情報量というオーディオ用語とは意味合いが違うが、ハイゲインなアンプだと、特に高域の雰囲気がまるで違うように思う。オレのシステムはとにかくプリもパワーアンプもゲインが高く、揚げ句にスピーカーがえらく高能率という化石的構成だが、少なくともオレにとってはそれでようやくリアルな感覚を獲得することができる。プリアンプに関してはさすがにもうちょっと下げた方がいいかとは思ってるが。

で、1626PP などという構成だと、1626 のμが低い上に OPT の一次側の負荷を大きくしなければならないから、巻線比で削られる分を考えると初段と位相反転段で相当のゲインを稼がねばならない。利得の大きな球は、五極管はいうまでもなく一般的に内部抵抗が高いから、回路のインピーダンスが高くなって高域の特性が悪くなる。そのへんでどう折り合いをつけるかが勘所か。入力容量がどうとか、考慮すべきパラメータがどんどん増えて頭がこんがらがってくるけどね。