最近買った CD

オレだってエストニアの音楽とかそんなんばっかり聴いてるわけじゃない。最近他に買ったのは、定番だが樹海『Wild Flower』Wild flower、それから牧野由依『天球の音楽』天球の音楽

樹海は頭の曲がいきなり『あなたがいた森』で、アルバムの始まりとしては暗すぎるんじゃないか。それはともかく全体としてきわめてオーソドックスな楽曲とアレンジで、ヴォーカルの確かな力量を頼ってじっくり唄を聞かせるタイプ。ソングライターがギタリストなのが大きいのだろう、進行もメロディーラインも奇を衒わずストレートで耳に入りやすい。基本的にシンプルな構成で、ベースとドラムがすべて生なのも最近のこの手としては珍しいのではなかろうか(打ち込みが悪いというのではなく、オレがリズムセクションは生の方が好きだという話である)。佐久間正英がベースを弾いてる曲が一曲だけあってちょっと意外。ただアルバムの構成としては最初の三曲でお腹一杯になってしまうので、クライマックスに『ヒカリ』を持って来た方がよかったんじゃないのかね。ややヴァリエーションには乏しいものの捨て曲もなくて充実したアルバムだけになおさら。

牧野由依は逆に非常に凝った楽曲に甘ったるいヘタっちょなヴォーカルが乗っかるパターン。これも ARIA 関係やツバサ関係でよく知られた曲が多く、ほとんどベストアルバムだね。その分やや統一性に乏しいが、どの曲もよくできているので楽しく聴くことができる。特にこちらのアルバムは録音がいいのでオーディオ的にも楽しい(樹海の録音が悪いということではない。為念)。構成も最後に『アムリタ』を持ってくるあたり狙いははっきりしている。しかし、初回特典の写真集の意図がわからん。たしかに牧野由依はかわいいと思うが、こういう写真集を喜ぶファンがいるかというといないんじゃないのかなあ。

というわけでいわば正反対の二枚のアルバムだが、どちらも楽しく聴くことができた。これだけ方向性の違う音楽でも、「女性ヴォーカル」って一括りにされちゃうんだろうけどね。オレがどちらが好きかというと樹海の方である。やっぱりバンドっぽいというか、職人的作り込みよりも楽曲の勢いで聴かせるタイプの音楽の方が好きだということだ。ソングライティングもヴォーカルの力量も見るべきものはあるので、あとは「ゴスロリ演歌」と揶揄された少し過剰な湿り気をどう処理するかだろう。今後に期待。