弦の音

というわけで Z-Cord 2 をプリに使ったら弦の響きがとても気持ち良くてオケばかり聴いている。今聴いているのはマーラー『悲劇的』(インバル、フランクフルト放送響)。デンオンの全集物で、前はどうにもがさがさした音であまり愉快ではなかったのだが、今は快適だ。

基本的にはストイックで辛気臭い音楽が好きなのだが、マーラーラフマニノフは別。ラフマニノフの泣きのメロディと疾走感は北欧メタルみたいだし、マーラーは明らかにキチガイの音楽だし。誇大妄想とパラノイアがないまぜになったような、ユダヤ人のくせにワーグナーが大好きで揚げ句にカトリックに改宗した変な奴らしい、多面的すぎる過剰さが愛おしい。マーラーラフマニノフといえば、ラフマニノフのピアノ協奏曲三番のアメリカ初演ではマーラーが指揮で、作曲者自演のはずなのに練習でラフマニノフマーラーに「もう勘弁してくれ」と泣きを入れた話なんてのは、マーラーキチガイ振りをよく伝えてるよな。いや、ラフマニノフも大概キチガイなんだが、マーラーの方がより気合いの入ったキチガイだったということで。