6GW8 PP

また五ヶ月放置……。

というわけで夏休みも終わろうという今日このごろ、アンプを作ろうと思い立った。何年か前に買ったきり放置していた木枠のシャーシがあってこれを活用しようと思ったのである。

しかしこのシャーシ、天板にすべての端子を装備しなければならないから、アンプ部に使える面積は案外小さい。なのであまり球数を使わないアンプを考えて、手持ちの球やトランス類を考慮した結果、6GW8 の PP に決定した。6GW8 はこれも結構前にサンバレーさんの試聴会の物販で6本3000円とかで買ったもので、ブランドは様々だが中身は全く同じ、おそらく Philips 製。OPT は山水の SW-15-8、チョークはタンゴの 5H150mA だが、これらはオークションで買って溜め込んでいたものである。電源トランスだけは春日の Kmb240 を新規で購入した。

そういう事情で考えた回路がこちら。

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ポイントはカソード帰還で、6GW8 のように gm の高い多極管には効果が大きいと考えた。これをやると 6GW8 のシールドが交流的に浮いてしまい具合の悪いこともあろうかと思ったが、目をつぶることにする。あと回路図にあるオーバーオール帰還は、完成後の試聴でない方が具合がいいので取り払ってしまった。また位相反転の PK 分割ではHK耐圧が規定値を超えるのでヒーターバイアスを施している。

そして完成してこのようになった。

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なんだかプロっぽい!もちろん俺にかような木工技術はないので、やったことは天板の穴あけだけであるが。

ざっと測定すると、出力は THD=5% で 8W。標準的であろう。DF は2しかないが音を聴く限り問題はない。ゲインは30dB くらいあるのでかなり高い。周波数特性としては、40kHz くらいにやや山がある以外、10Hz から 80kHz くらいまでほぼフラット。ちなみに出力管は6本買った中から適当に4本選んだのだが、とても良く揃っていて、バランスを取る必要もなかったのは僥倖であった。

音質的には、五極管ということでパワフルで太い音を想定していたが、あにはからんや繊細で音場が広く、非常に心地いい音がする。先述のように当初はカソード帰還に加えてオーバーオールの負帰還を施していたが、その有無を聴き比べるとない方がすっきり感が強い気がしたのでカソード帰還のみとした。低音の膨らみを懸念したが、Harbeth HL-P3 のウーファーを制御しきれないということはないようで、バスドラやベースがボンつくということも感じられないのでこれでよしとする。

そんなこんなで3日くらいででっち上げた割にいい感じの結果を得られた。そろそろでかいアンプも作りたいんだけどね……。