曙光 300B

ここのところの円高に気を良くして、曙光の 300BS-B を深圳の業者から5ペア購入した。ナス型メッシュプレートの球である。大橋さんとこで売ってる Prime 300B ver.5 の元ネタだな。さすがに5ペアもいらないので自分で使う分以外は放流することにする。中国から直接買うと安いのはいいんだが、なんとかペア組はなされているものの、それぞれのペアごとの電流が全然揃ってない。たとえば2ペア買って完全に揃ったのが4本欲しい、なんて場合には大橋さんのところで買うのが良い。今回は5ペアからなんとか揃ったのを4本取れたから俺の用途は満たされるが。

最初はシングルで考えていたのだが、まともなシングルの出力トランスはでかくて高い。むしろプッシュの方が選択肢が多くて作りやすい。ので、6528 で使って安いのに非常に結果が良かった Amplimo のトロイダル OPT を今回も使うことにして(これも円高で前回よりもさらに安く買えた)、プッシュで設計を考えている。回路も結局はシンプルでいい感じだった 6528PP を踏襲することにして、ハイパワー版 SIPP って感じにしようかと。6528 は少し取り澄ましたというか線の細い感じがなきにしもあらずなので、中華 300B の中音に張りのある音の傾向がうまく効けばバランスの良いアンプができるのではなかろうか。

ただ直熱管でフィラメント電源をチャンネルごとに共有することになると、DC バランスを取るのがちょっと面倒だ。ペアマッチを前提にその辺を省いてしまうか、片方の球のバイアスを多少可変にして、OPT の一次側巻線の DCR を利用した調整回路をつけるか思案中。なくてもいいような気がするんだよなあ。なしで作ってみて、調整が必要だったら後付でいいか。

WE の、それも再生産前のものでなければ 300B とは認めないというような考え方もあろうが、直熱三極管で内部抵抗が低くて、それなりの Ep でしっかりパワーが取れる使いやすいオーディオ用出力管、というふうに考えれば、曙光だって立派に魅力的な出力管ではないか。格好も洒落ているし。俺だっていつも変な球で変なアンプばかり作ってるんじゃないんだよ!