MCトランス

松本さんにミニトランスを借りたおかげで、オレにとって MC 昇圧トランスの条件が何かがだいぶ分かってきた。ありがとうございます>松本さん

つまり、かなり大きな巻線比を持つことと終端抵抗はあった方がいいことが前提で、かつ適正な昇圧比を得るためには入力インピーダンスができるだけ 40Ωに近くあるべきだということである。で、終端抵抗は実際の使用時の問題だが、巻線比とインピーダンスに関してちょうどいいトランスを eBay で見つけたので買ってみた。Webster の WSM-161 というもので、おそらく40年代から50年代のマイクトランスらしい。検索しても情報がほとんど見つからない。ただヤフオクでとんでもない値段で落札されているのは見つけた。インピーダンスは一次側50Ω、二次側50kΩだから巻線比は約 1:31.6。カートリッジの出力インピーダンスが 40Ω、フォノアンプの入力インピーダンスが 47kΩなのでほぼドンピシャだ。音については全く分からないものの、高いものでもないし、駄目ならそれこそオークションに流せば損はしないだろうと考えたわけである。

実際届いてみると思ったよりずっとでかくて重い。ソケット式なのだがそのソケットが GT9ピンという特殊なものでちょっと泡を食った。それでも適合するソケットも見つけて事無きを得る。で、タカチのアルミダイキャストのケースにソケットとプラグ類を取り付けて配線して一丁上がり。終端抵抗は 47kΩ。ケースの大きさが 110X80X30 なので、それと比べてトランスの大きさが分かるだろうか。

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早速音を出してみる。まずノイズは通常の音量ではほとんどない。ゲインが十分あるのでアンプのボリュームをさほど上げなくていいことが実用上の S/N 比に貢献している。音質にはちょっとびっくりしたのだが、濃密でボディーがあって頗るよろしい。さすがに古いものだけにあまりレンジは広くない感じはある(あとで周波数特性を一応測ってみよう)が、上が詰まって聴こえるというほどでもなく、音場や空気が損なわれているということもないように思われる。なにしろこのがっしりした力強さが好みだ。少なくとも PE-50 の MC ポジションで聴くよりはずっと好きな音だ。

というわけで、ケースや部品込みで1万円ちょっとでこれだけのものが手に入って満足である。早まって高い買い物をしなくてよかった。フォノアンプも中古で安く買ったから、フォノアンプとトランスを合わせても総額3万円を軽く切っているが、アナログに命を懸けているわけではないオレにとっては充分な音がこの値段で得られたのは望外である。