こんなもんだろうか

808 アンプだが、結局電圧を下げるのはやめて当初の設計通りにする。無信号時のプレート損失が約40W。片チャンネルだけ特性が大暴れしているのも、要は初段が悪さをしているようなのだが原因はわからず、配線を変えたりしても変わらない。ドライバのグリッドを 100pF のマイカコンデンサで接地したらぴたりと治まったのでよしとする。また負帰還抵抗に 1000pF の位相補正コンデンサを抱かせる。

この状態で 10Hz から 25kHz までほぼフラット、そこからすとんと落ちる。低域の充実はさすがにインダクタンスのでかいトランスである。高域の伸びはこのトランスに望んではいけない。歪率は 1W1kHz で 0.15% くらいとまずまずだが、5% で 9W くらいしか出ていない。明らかにドライバが出力段のゼロバイアスの壁に突き当たっている。6CK4 では力不足だったか、そもそもダイナミックカップルの限界か。

未補正での不安定さの一つの原因としては、裸利得が想定よりだいぶ大きいために負帰還量が多いことが考えられる。現状では 14dB くらいの負帰還なので、この OPT では厳しいのかもしれない。それでもなお 28dB ほどゲインがあるのだからこれは設計時のミスだな。ドライバのグリッド抵抗を小さくして初段のゲインを下げた方がよさそうだ。微分補正コンデンサももう少し小さくした方が音のためには良いだろう。

ただし現状でも音はなかなかいい。上記の問題点を勘案すると、もうちょっと手綱を緩めたあたりに意図する音がありそうではある。