サンバレーの試聴会

今回でこういう形態は最後ということで、来年以降は本格的に東京進出らしい。で、細切れのソースでアンプを切り替えながら、というやり方では音楽の総体を知ることは出来ないけれど、あれだけ機種が多いと、何となくの傾向が掴める機会というのも重要かもしれない。結局のところそれをどう使うかはユーザに委せるしかないわけだし。

オレ自身は年をとったのかトランスドライブが何だか良いと思えたりもした。845 のトランスドライブなんて大橋さん自身特性はガタガタだと言ってたけど、出音は不思議な訴求力がある。同様に 300B モノプッシュもそんな感じで、PP で無帰還なんてのは回路構成だけでいえば趣味ではないんだけど、他のものとははっきり違う何かがあった。あんな高くてでかいものを縦令買えたところで置く場所もないが、自分で作る時にそのうちトランスドライブを試してみようかしら。

あと 6C41C OTL は、以前聴いた時とはだいぶ印象が変わって、ほんとに色付けの少ない異色の存在だと感じられた。スピーカーが変わるとそのスピーカーの音が如実に表れる感じ。どっかで見たけど、保護回路を外して実測した人がいて、それによればいかにもよくできた OTL らしい特性が出ているようで、出力管の選別の手間を考えてもあれを10万そこそこで出されると自作がばかばかしくなる。アンバランスで DC が漏れると保護回路が働くんだから終端のヒューズとケミコンは外しちゃっても大丈夫じゃね?って気もするが。あれはちょっと欲しいかも。小型 OTL アンプ出せとせっついたのはそもそもオレもその一人ではあるしな。

あとスピーカーだが、WS-825 はまともに聴いたのは初めてだ。個人的な好みとしては弦がちょっと苦しくてもっと上が欲しいが、まとまりはよい。ああいう一種の割り切りのうまさが村瀬さんの持ち味だろう。むしろ安いウーファーが健闘していると思った。箱だけ欲しい(笑)

なんにせよ自作なんかをやってると果たして自分がやってることが何なのかよく分からなくなるところがあって、そういう意味ではプロの設計で一定方向にまとめたものの傾向を把握しておくことは役に立つ。ああいう風にたくさん並べて少しずつ音を出して、その違いを聞き取れるかどうかってことよりは、あれだけ種類があれば好きなものもそうでないものも相対的だけどあって、そういう自分の傾向を実体に照らし合わせて再確認することに意味があるかもしれない。