Telefunken LS50

さて、紆余曲折は経たものの45シングルに一段落ついて、なかなかよいものになったと自画自賛しているところだが、これまた思いつきで陸號機 GU50 シングルの出力管を Telefunken LS50 に置き換えることにした。こういう作業というのは勢いがついてるときには矢継ぎ早にやってみたくなるものである。

GU50 用のソケットでは微妙に LS50 が入らないので、ソケットを交換する作業が必要になるが、取り付け穴の位置はほぼ同じなので作業そのものは大した手間ではない。ピン配列も同じなので部品の配置の変更も必要ない。

60年の時を超えて火を入れられた LS50 であるが、電流はちゃんと流れるし、電流値を揃えた上でのプレート電圧もほとんど同じで、一度調整すればバイアスはきっちり安定する。さすがにクリティカルな用途のためにドイツ人が作った真空管だ。まとめ買いして選別して半分しかまともに使えないソヴィエトものとはわけが違う。

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精度や作りは国やメーカーによって違いがあるし、その結果出てくる音に違いがあるのも確かだ。しかし一方でそれがブランド志向に結びつくことは自分としては戒めているつもりなのだけど、これは違いすぎる。こんなある意味やっつけの安物部品で作ったアンプで、出力管以外は全く同じなのにこれだけ音が違うとは何事なのだろう。計測した数字自体に大きな差はないのに、上から下まですっきりと伸びて奥行きのある音で、情報量も音の自然さも断然 LS50 が上だ。まさかこんな球で音楽を鳴らすバカがいるとは当時のドイツ人も思わなかったろうが、こうしてオーディオアンプなんていう低周波で使ってさえ品質の違いが表れる。

これは Wehrmacht 球にはまるかもしれない。考えてみれば、Telefunken という名前がついているオーディオ用途の球はとてつもない値段になっているが、これとか RL12P35 とか、ソケットがなかなか見つからず高価であることを考え合わせても十分手が出る価格である。形も面白いしへんなものを弄っている満足感も得られてしかも音がいい。とりあえず近いうちに LS50 専用設計のアンプを考えよう。このままではいかにももったいない。