対症療法

件の 809 アンプだが、OPT 一次側の位相補正ではあまり大きな改善はなかったので、これを外してドライバ段に積分補正を施してみた。手持ちの部品で実験的に 390pF のマイカコンデンサと 18k の抵抗を直列にしてドライバのグリッドとグランドの間に追加してみると、効き過ぎで 20kHz 以前から減衰が始まる。しかし高域の盛り上がりはこれで消すことができそう(まだ50kHz くらいに以前とは比べ物にならないくらい小さいが山がある)なので、220pF から 250pF くらいのもうちょっと小さなコンデンサであればちょうどよさそうだ。

音質的にも現状ではちょっとデリカシーがなくなったというか粗い音になるので、カットオフをもうちょっと上に追いやる必要がある。それでちょうど高域に残る山も潰せるんじゃなかろうか。週末にでも時間があれば部品を買ってこよう。積分回路による位相補正は「野蛮な手段」であるという意見もあるようで、それも一理あるように思うが、場合によっては採用せざるを得ないということか。理想的には、一切の補正抜きできれいな特性が得られればいいのだろうがもちろんそんなことがオレの技量でできるはずもなく、うまくいかないところがあれば対症療法で妥協点を探って行くしかない。

ただこのアンプ、Lowther が躍動感をもってというか、弾むように鳴るんだよね。これは今までにない経験で、うまく落ち着けばポテンシャルは高そうだ。オレのインチキ測定環境で整えられるところは整えたいけれど、そのことと音はまた別で、角を矯めて牛を殺すようなことがないようにしたいものだ。まあオレ程度では牛の角が多少尖っていても死にはしないと開き直った方がよさそうだけれど。