300B の負荷

弐號機 300B シングルは負荷を 5k にしている。しかし考えてみればこのアンプの動作点(350V70mA程度)では 300B の内部抵抗なんて700Ω~800Ωくらいなものだから、5k という負荷は値として大きすぎるかもしれない。ので、実験的に2.5k にしてみた。この変更で大きく変わるのは出力、ゲイン、DF であり、歪率もかなり変わるだろう。負帰還抵抗を据置にすることで負帰還量も変わる。大まかに考えると、出力は2割増、ゲインも2割増、DF は4.5から3くらいに減る。

音を出してすぐに分かるのは低音がやや緩くなってその分量感が増していることと、音が全体に太くなっていることである。最初の印象では聴きやすくなって響きが豊かになったようにも思えるが、よく聴いてみると輪郭がやや曖昧になって分離が悪くなっていることが分かる。オーケストラなんかだとややのっぺりした雰囲気になるし、ピアノの打撃では限界が早いようにも聴こえる。ヴォーカルにはこの方が魅力を感じる部分もあるが、全体としては元の5Kの方が好印象なので戻すことにした。

しかしこういう実験を色々やってみることで経験値につながるわけで、動作点をどうすると音がどういう傾向になるかを実感として知っていれば設計時に予想がつく要素が増える。自分がどういう音をより好ましく感じるかも掴める。ということで無駄ではなかったということにしておこう。