OPT のこと

投稿締め切りをとうに過ぎて最後通牒を突きつけられた論文に泣きながら取り組んでいるのだが、ふと現実逃避に零號機をいじり回してみたりする。これに使ってるのは東栄の OPT-10S という安いバンド型 OPT なのだが、低音はこのサイズと値段にしてはとても立派である一方で、高音が夢のように出ない。特性を測ったら高域がどん詰まりだとかいうレヴェルではなく、聴感上で高音がすっぱり切れているのが分かるくらい。確かノグチの安い OPT もそういう傾向があるそうで、どうしても小さいシングル用 OPT にも低域がちゃんと出ることを望む人が多いために、上が犠牲になってるとしか思えない。

その点ハモンドの安いバンド型 OPT(125SEシリーズ)は、東栄に比べると少し低域が薄いが、上がちゃんと出ている。発表されている特性では 15KHz までしかフラットに出てないはずなのだが、測定結果を載せているサイトがあって、そこでは軽く 20KHz を超えていた。初號機に使ってるのがこれなんだが、以前零號機と OPT のスワップ実験を行ったことがあって、同様の印象を得た記憶がある。これ、安いのにいいトランスで、一次側が 2.5K から 10K まで使えるので便利だし、安くアンプを作りたい時には重宝だ。もう1ペア買い置きがあるのでそのうちなんかしよう。

で、オレがアンプを作る時に使うトランスは、PT は春日とかノグチだし、OPT は弐號機がハモンドのでかいやつ、參號機が James という台湾のメーカーのものである。このクラスになるとさすがに上から下までちゃんと延びる。ハモンドを使った弐號機は以前測定したら10Hz~80KHzくらいまでちゃんと出ていたし*1。一方 James も安いのになかなかちゃんとしていて、なにしろしっかりした綺麗なケースに入っている。タムラか橋本みたいだ。音にも何の不満もない。James は国内ではなかなか売られているのをみることがないが、確かヒノで売っている。もっともオレが台湾から直接買った値段を考えるとばかばかしい値札が付けられているが。

音の点では、オレ個人としてはハモンドの16シリーズの元気がある音が好きだ。ハモンドの Hi-Fi シリーズの欠点は、PP 用のトランスなら色んなサイズがあるのに、シングル用は巨大な 30W のシリーズしかないことだ。30W クラスのシングル用 OPT が100ドル未満で買えるのはありがたいのだけど*2、あれだけでかいと用途が限られてしまう。半分のサイズで60ドルくらいなんてのがあれば大喜びなんだけど。特にシングル用の OPT はでかければいいというわけでもないからね。

ま、タムラとかタンゴとか橋本を使えばいいというのは分かってるんだよ。せっかく日本に住んでいて容易に入手出来るんだし。ただ、高いというのはもちろんあるんだけど、それ以上にそういうトランスを使うのはあまりに当たり前で、このサイトの趣旨の一つとして以前から「安くていいもの、面白そうなものを外國(出来れば中国語圏)から見つけてきて人柱になる」という風に決めていることもあって、その原則は自作でも守りたいんだよね。電源トランスだけは一次側電圧の問題があって基本的に国産しかないけれど*3。なにか James 以外にもよさげで安いトランスないかしら。

*1:実はハモンドの16シリーズは 50Kz あたりに妙な凸凹があってそれを嫌う人もいるようだが、まあ聴いて分かるレヴェルではないような気もする。

*2:もちろんでかいので船便でもそれなりに送料がかかる。それでも国内で同じものを買うよりは大分安い。

*3ハモンドに 100V で使えるものがあるけど、ちょっと高いのでやはり趣旨に合わない。