設計は難しい

今回の參號機を考えている時にも思ったんだが、トランスドライブは別にして、あまりμの高くない三極管を出力管に使う場合、真当な利得を稼ごうと思うと前段の選択肢があまり多くないことに気付く。たとえば參號機の場合、負帰還を多少かけてオーバーオールのゲインを 25dB は欲しいと考えた。2A3 を負荷 3.5K で使った場合の利得がほぼ 3.5 倍だから、負帰還を控え目に考えて 3dB としても 28 dB を稼ぐには前段で180倍はなければならないことになる。となると五極管一本では相当 gm の高い球でかつ負荷抵抗を大きくしなければムリでだし、しばしば見られるような 12AX7 の SRPP だとか 6SL7 の一段増幅+カソードフォロワなんてのではまるで足りない。それじゃあドライブ電圧だって一杯一杯だし。

となると簡単にそれくらいの利得を得るには、今回參號機で採用したような 12AU7/ 6SN7 クラスの三極管の二段増幅か、あとは初號機、二號機で採用したようなパワー管ドライブだ。トランスドライブはコストがかかるのと負帰還をかけるのが怖いのであまり使いたくない。今手元にある 843 とか、あるいはもっとお手軽に 1626 あたりで何か作ってみようと考えても、結局前段の設計でそこら辺に落ち着いてしまうのがつまらない。せっかく素人の遊びなんだからもっとワケの分からない手段を用いてみたいのだが。