実験くん

しばらく鳴らしているうちに多少落ち着いてきた Lowther だが、やはりまだ高音が耳につく。非常に上流の変化に敏感なのは分かったので、ここは手持ちのアンプをつなぎ換えながら具合を見てみよう。

というわけで SV-2、零号機(6G-B8 シングル)と初号機(45 シングル)の三台で鳴らしてみた。SV-2 は 845 だけに華やかな高音が特徴で、ちょっと Lowther とは相性がよくないように思われた。 nOrh はどっちかというとマイルドな音なのでちょうどよかったのだが、 Lowther のややもすると攻撃的になりがちな性格を助長してしまう傾向がある。しかしさすがにスケールの大きさは一番で、能率がいいスピーカーだから大きなアンプの意味がないということはないわけである。

零号機は三結とはいえやはり多極管のシングルで、NF もあまり深くはかけていないから DF が低く、低音がちょっと膨らんでしまう。しかしバランスは結構いい。耳につく成分はぐっと少なくなって重心が低い。音場は SV-2 に比べると狭くなってしまう。ちなみに Lowther の美点はステレオイメージの明快さ、定位のよさにあると思う。SV-2 だと欠点はあるがそういう美点はちゃんと伝えているのに対し、零号機だとそのあたりが後退するかな。

初号機は零号機より透明感というか空気がきれいな感じはあるんだけどちょっとこじんまりしてしまう。高音もやっぱり耳につく。低いところもちょっとさびしいかな。

というわけで、上まできちんと出しながらなおかつうるさくならない、という鳴らし方はかなり難しそうだ。手持ちの三台どれも一長一短あって決定打はない。ただこの三台の比較で目指すべき方向性は明らかになったようにも思う。そこそこ大型の 300B シングルとして計画している弐号機はちょうどうまくはまってくれるかもしれない。あとシングルアンプしか試してないけど、多極管の PP もものによってはいけそうな予感がする。弐号機を完成させたら今度はそっちの方向も考えてみよう。