ロクタル管の話

『ロクタル管の話』といえば、『されど我らが日々』に収録されている柴田翔の短編*1だが、ここで別に小説の話をするわけではない。なんとなく Antique Electronic Supply のサイトを眺めていたらロクタル管がいろいろセール価格になっていて、いくつか買ってしまっただけである。

7F7 とか 7AF7 とか 7N7 とかそのあたりだが、1本 3.5 ドルとかそんなもん。まあ送料のことを考えたらもうちょっと高くなってしまうのだけど、1940年代から50年代にかけての NOS 球がそれくらいの値段なわけである。アメリカでロクタル管を作っていたのはほぼ Sylvania だけだから*2、買ったものもブランドはさまざまなれどおそらく Sylvania 製品ばかりなのだろうが、たとえば 7N7 なんて 6SN7GT とほとんど同じ球である。この頃の Sylvania の 6SN7GT などは結構な値札が付いているものであって、同じようなものなのに安いってのが大好きなオレ向きだ。

出力管もたとえば 7C5 などいくつかあるから、そのうちオールロクタルのアンプなど考えてみるのも面白いかもしれない。C3m なんてとてもかわいい。問題はソケットで、案外売ってない上にそこそこ高い。下手すると球より高い。需要の少ないものの宿命かね。

しかしあれだ、せっかく自作なんだから、見た目がかわいいとか珍しいとかもちろん安いとかいう理由で球を選ぶのが楽しいよね。特に欧州管でとてもかわいいものが多い。EL3N みたいに赤いのとか、素晴らしいよ。

*1柴田翔は当然のことながら大学で屡々見かけた。ああ、作家というのはこういう人なのか、となんとなく思った。

*2:そもそも Philco が Sylvania に作らせた規格なんだっけ。