さらにいじりまわす

こうなったら手元にあるものでできることは可能な限りやってみよう、ということで、今度は前段を EF86 の三結に変更。実はグリッドとシールドが入れ替わる以外は ECC88 のパラと同じピンアウトだったりするんである。プレート抵抗 100k、カソード抵抗 2k で、プレート電圧 150V、プレート電流 1.2mA くらいでうまいこと落ち着いた。

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しかし、当たり前のことだが回路というのは素子の実体は関係なく、あくまでフレームワークであって、本質は数値にしかない。要素の変更によって無数の変換群が実現され、そこにフェティッシュなものが入り込む余地はない。徹底した自作派の人が「特性が同じなら真空管のメーカーによる音の違いなど有り得ない」と主張するのも分かる気がする。ブランドが実体から浮遊したシニフィアンだとすれば、特性は実体と不離の関係にあるシニフィアンであって、Dasein との関係の深さは比較にならない。

しかしやはりものを手にするということはそのものの実体を手にすることであり、実体とは無関係のところで紡がれた物語をも手にすることだと思うのである。でもってここで使われている EF86 は Mullard であり、EL32 だってそれほど高くなく Mullard を見つけたので買ってしまったものである。音だってその方がいい気がするじゃないか! これで整流管も Mullard なら Mullard 尽くしになるんだけどね。

整流管といえば、出力管を EL32 にして電流が小さくなったので、EZ81 を EZ80 に変更した。びっくりするくらい音が違って、EZ80 の方が遙かにいい。整流管で音が違う仕組もさっぱりわからないのだが、主観評価でいいでしょ。EF86 三結にした音も満足のいく音で、なかなか気分がいい。それで紅薔薇ファンディスク(マリア様がみてる~春~ファンディスク 1 紅薔薇 [DVD])なんか観てるんだけどね! さすがに BGM やなにかが DVD クオリティなので音がいいよ。