ソン・ヨルム

2ヶ月ぶりくらいで演奏会に行った。東フィルの定期。指揮はミヒャエル・ボーダー、曲はラフマニノフ・ピアノ協奏曲3番と、ワーグナーの数曲にリゲティを1曲混ぜたコンピレーションみたいなプログラム。ワーグナーではいい音を出していたし、リゲティも面白かったよ。そういえば『2001年宇宙の旅』で使われていた曲だと後で思い出した。周囲のおっさんおばはんたちはかなり面食らってたみたいだけど、こういうの好きだ。

が、重要なのはラフマニノフである。ソリストのソン・ヨルムはまだ18才の韓国人。まったく予備知識はなかったのだが、冒頭のテーマのフレーズだけでノックアウトされてしまった。物凄いピアニストですよこの人。オケがかなり大きな音でがんがん飛ばしているのにまったく負けず、ウルトラ正確なタッチで太い音を持続させる。第二楽章から第三楽章の切り替えのところやクライマックスでは拳を振り上げそうになりましたよ。ある意味イングヴェイみたいな、叙情性とハードさと超絶技巧を兼ね備えた人で、一気にファンになってしまった。かわいらしい女の子なんだけどすごい音だ。やっぱりラフマニノフはメタルだ。

しかし全体として思ったのは、東フィルってこんなにいい音だったっけということだ。厚みがあって滑らかで。オペラがメインでドラマティックな音楽が得意な指揮者だからということなのかな。タケミツメモリアルは場所によって違いが大きくて、今日の席は安い席ながら音がよく響くところだったのかもしらんが。