SACD 四題

機材のネタがない時にはソースのことを書く。AmazonHMV に頼んでいた SACD 四枚がほぼ同時に届いた。Living Stereo の Concerto for Orchestra/Music for Strings (Hybr) および Ballades/ScherzosNaxosPart:Berliner Messe/Magnificat、それとフェイ・ウオンの DI-DA (これは Amazon にないのでリンクをはれない)。

まず Bartok だが、これはすごいね。バルトーク本人と友人であったフリッツ・ライナーの指揮だが、シャープかつ豊かな弦の音が素晴らしい。オケコンも弦チェレも大好きな曲でいくつかの録音が手元にあるが、これがいちばん好きだ。

それからリュービンシュタインのショパン。これには驚いた。こんな凄いショパンは聴いたことがない。演奏も音もとんでもない。あくまで明瞭な低音と流麗だがエッジの立った高音。ピアノの音には納得できないことが多いのだが、これには一かけらの不満もない。must have だね。

Living Stereo は安価だが素晴らしく音がいい。もちろんリマスターの技術が優れているのだろうけど、そもそもの50年代の録音自体が信じられないくらいいい。RCA の威信をかけた録音だったのだろうけど、これだけ自然かつレンジの広い録音が50年近く前に既に完成していたという。奥が深い。

それから NAXOSアルヴォ・ペルト。こちらは一転最新録音だが、太く暖かい音だ。ECM のクールな音とは大分違っていて、違ったペルトを聴ける。オルガンの重低音などはさすが DSDSACD である。コーラスの重なりなどはうまく捉えられているように思う。これも Living Stereo もとても安価な SACD だけど、これくらいのクオリティがこれくらいの値段でどんどん買えるようになれば SACD プレーヤーを買った甲斐があるというものだ。

最後のフェイ・ウオンは香港からの輸入盤で、結構高かった。オリジナルは持ってるんだけど聴き比べてみたかったので。一聴して、明らかに過剰なほどリアルだ。リップノイズでちょっと変な気持ちになるくらい。声のリアルさに対して、リミックスは少し低音を強調し過ぎかなあ。ダイナミックレンジの広さを利用しようとし過ぎてるかも。でも、全体の透明感や何より声の手触りがオリジナルとは相当違うので、SACD の価値はある。

オレの機器はカタログ上 SACD の広帯域をかなりの部分享受できるスペックはあるんだけど、SACD の価値はレンジがどうこうではなくて音のリアルさにある。低音楽器のズンとくる感じは会場で聴いてるみたいだ。情報量が多いということは楽音にならないような音まで入ってるということで、それがリアル感につながってるんだろう。可聴帯域を超えた周波数の音が可聴帯域にも影響するわけで、人間の聴感というのは面白い。

あ、ちなみに内容のことにほとんど触れてないのはわざとね。一応オーディオのサイトなので、音楽そのものについては書くべきじゃないと勝手に決めてるので。と、音質にしか興味がないオーヲタじゃないんだとアピールしてみるテスト。