直熱三極管

しばらく何も書いてなかったが、「注文してしまったもの」とはアドバンスの 2A3 シングルアンプ HC-2 である。モデルチェンジしてオール基板になるというので、慌ててへそくりをはたいて旧型を入手した。サンバレーに一台だけ残ってたよ。

暇を見つけてちょっとずつ作っていたのだが、昨夜になってようやく完成。一ヶ所半田不良があってそれを特定するのに多少手間取ったが大体は順調に完成した。完成直後の雄姿。↓

パーツの方は初段と6922 SRPP の間のコンデンサを手持ちの東一ビタQにしたくらいだが、球は 12AT7 が Mullard CV4024、6922 が Amperex の地球マーク、2A3 は RCA JAN-CRC の2枚プレート (ブラックプレートだから2枚プレートの初期型。おそらく40年代後半だろう)。2A3 以外は手持ちのもの。使うあてもなかった CV4024 なんかをなぜ持っていたのだろう。

まだ出来立てだが、音を出してあまりのよさにひっくり返りそうになった。甘い高音がすっきりと伸び、低音もたっぷり出て、人の声や弦楽器の自然な充実振りは買い値で5万を切っているアンプとも思えない。付属しているソブテックの 2A3 だって十分にいい音がする。一つ問題があるとすれば左右の音量差がややあることで、電圧にはどこを計っても左右で偏差はないので理由がわからん。プリのバランス調整でなんとかなるとはいえるが。

メインのシステムにもつないでみたが、確かにややパワーが足りないのと低音が緩いのは気になるにしても、中高音の美しさは七難隠す。もともと直熱三極管シングル無帰還というアンプは日本人がはやらせたものなのだそうだが、確かにあまり広くない部屋でリラックスして聴くには非常に向いている音だ。

しかしこれですっかり直熱三極管シングルにはまってしまった。メインは五極管 PP だが、正直 HC-2 の音の方が好きだ。低音の緩さなどはおそらく OPT がでかくなれば解決するものでもあり、立派なトランスを積んだものであればメインに使って不満は出なかろう。よし、またへそくりして冬にはもっと立派な三極管アンプを買おう。