SA-3 総括

一通り手を入れるべきところに手を入れた Counterpoint SA-3 であるが、ここらでやったことと音を総括しておこう。総括するが自己批判はしないぞ (謎)

まず、さすがに20年前の製品なので、端子類はちゃちな上に劣化していたので交換した。ラジオストアーの一階で売ってるごく普通の RCA ジャック。またボリュームも開放型の安物でガリが出始めていたので東京光音 2CP2500 に交換。これはどちらも Michael Elliott 自身が推奨している改造である。回路には現時点では手を入れていない。フィルムコンデンサは Wondercap だし電解コンは Sprague Atom で、どちらも見たところ大きな劣化は見られないので。そのうち結合及び出力コンデンサだけでも Dynamicap に換えてもいいかな。

トランスはここ数日書いているように、Elliott 自身が仲介して販売している Plitron の専用トランスに換装した。「秋葉原でアルミケースを買え」との Mike のご宣託に従ってラジデパでリードのケースを買ってそこに納めた。IEC コネクタをつけたので電源ケーブルも交換できる。現時点での電源ケーブルは AudioMagic Spellcaster II だが、近いうち Xindak FP-1 にする予定。トランスと本体の間の電線もなんとかしたいが、そうなるとかなり作業がややこしいし、たくさんまとめても太くも固くもなりすぎない 22GA くらいの太さでかつ音質的に優秀な電線というものがちょっと思い付かない。銀線を使うといいかもしれないが全部で 10m くらい必要なので目が飛び出るような値段になってしまう。

また球は借り物の E288CC。電流を喰うのでオリジナルのトランスだと多少挙動に不安があったが、トランスを大容量にした現在は快調。これなら以前試してヤバげな感じがしてやめた 6N6P も大丈夫かもしれない。ただ、Philips Miniwatt PCC88 が安いのに非常に具合がいい (こちらはヒーター電圧が若干高いが、電流は同じなので問題なく使える) ので、高価な E288CC の入手性に難がある場合にはこれはおすすめ。

音はどうかというと、まずノイズの少なさは特筆すべきである。スピーカーに耳を付けてようやく「サー」という残留ノイズが聞こえる程度で、しかも「ブーン」というハム成分がまったくない。もちろんちょっと離れればまったくノイズはない。それが RIAA 入力でも同じなのが凄い。今までアナログのノイズには苦労していたが、これでようやくノイズを気にせずにレコードが聴けるようになった。これは、半導体を多用した凝った電源周りが大きく寄与しているのだろう。

音質的には、よくアメリカ人がオーディオについて書く時に使う open とか airy という表現がぴったり来る。多少甘めの音だが、嫌みな味付けではなく「美音」である。トランスを換えたらこの甘さはやや後退して、いわゆるソースに忠実という傾向の音に近づいたが。過不足がなく、安心して音楽に没頭できる音だ。もともと決して高級品ではないんだけど、ツボが良くわかっている。さすが Elliott だ。

問題は、やはり古いものなので、現状問題ないとしても特に電源周りのトラブルが気になる。凝った回路だし今では入手できない半導体を多用してるので壊れたらおしまいである (買った値段の何倍も出せば Mike が修理してくれるらしいが)。あと小さな問題だが、つまみを固定している六角ネジのサイズが謎で、1.5mm レンチではうまく締まらないので、なんとなくつまみが不安定である。ボリュームの微妙な操作には困る。

そんなわけで、総体的には非常に満足している。壊れるまでプリアンプはこれでいいや。