お宅訪問

畏友N氏のお宅にお邪魔してきた。目的は近頃話題の Non-oversampling DAC (http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0428/nishikawa.htm の記事に掲載されているそのもの) 用のライントランスの比較試聴というか、NOS DAC の音を聴かせていただくこと。試聴環境は、記事に写真が掲載されているサブシステムではなく、マッキン+JBL の大型システムと SATRIアンプ+LE-8Tのシステム。DAC の音には当然N氏の好みが反映されているわけだが、一言で言うととにかくリアルな音。演奏者がそこにいるみたい。市販のDACがオーディオ的な音場の広さや音色のきれいさを演出するとすれば、NOS DAC の音はPA的と言ってもいいような臨場感がある。

N氏は高調波ノイズの除去を目的としてライントランスを内蔵させているのだが、このトランスを記事にあるタムラのTD-1からUTC A-20に交換すると効果は絶大で、臨場感はそのままに音場と定位が大きく向上し、ギターのピッキングのニュアンスやヴォーカリストのリップノイズまで正確に伝達される。あんまりリアルで変な気持ちになるほどだ。ある程度自分で演奏の経験があるとか、よほど生の演奏に慣れていないと落ち着かないかもしれない。逆にN氏にしてもオレにしてもバンドマン上がりなので「これこれ、これだよ」って感じになるのだが。なにしろヴォーカルにかかっているリヴァーブの量とバックの楽器にかかっているエフェクトのずれが気になるくらいの情報量なので、へんな録音だと違和感が感じられてしまう。はまったソースだと「やばい」と口走ってしまうほど引き込まれる。古いジャズのライブ録音なんかだと、ボーイが食器を片づけている場所が見える。JBL D130 が生き生きと鳴っているのが手に取るように分かる。これでトランスをWEにしたりしたらどうなるんだろう。

途中昼食やトランスの交換の時間はあったものの、11時にお邪魔して気がついたら19時になっていた。オレが持参したものを含めて大量の CD を聴いたが文字通りあっという間だった。この音の DAC が総額50,000円くらいで作れてしまうのだから恐れ入る。もちろん好みはあるし、たとえばヨーロピアン・ハイエンドのシステムにこのDACを入れたらしっちゃかめっちゃかになることは容易に想像がつくけれども、この手も十二分にアリだと思わされた。

オレの関心の範囲からいくと、中国のキット業者がいろんな DAC のキットを出していて、その中にも面白そうで安いものが沢山ある。そういうのを作ってみるのも面白そうだな。