雑感

前にも書いたが、今のオレのシステムは、到達点とは言わないまでも踊り場くらいには来ていると思っている。今もチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトを聴いているが、あまり大きくないホールの比較的いい席で聴いている感じは味わえている。所謂ハイエンド的定位とか空間表現なんてのはどうでもいいことで、というかそういう言葉で何が表現されようとしているのかオレには分からないのだが、音色や雰囲気を含めて、ステージが想像できるのだからそれでいい。もちろん録音的技巧の凝らされたロックやポップミュージックや、または「せーの」で一発録りしたような乱暴な音楽や (それがオレのもっとも好むところではあるのだが) そういうのも音楽家が何をしようとしているのかが感じられるようになってきた。逆に言えば、「音」に不満が無くなってきたので単純に音楽を聴くことができるようになったのかもしれない。

もちろん気が違ったような金額の機器を集めるマニアがいてもいいけど、オレのそう多くない経験では、そういう人は自分が何を聴きたいのかがそもそも分かってないから、ろくでもない音しか出せないことが多いように思う。ありもしないイデアを求めて無間地獄に落ちてるというか。畏友N氏なんかはオレあたりの基準では立派なハイエンダーだが、ご本人が音楽がわかってるし、音楽を創る側に対する敬意がある人だから、ありもしないイデアではなく、経験に基づく「いい音」を持ってるので、オレもその音を聴くと素直に感心できる。

サンバレーの大橋氏を信用してるのもそこで、ご自分がメタルなドラムの人であることを差し引いても (笑) 経験に基づく確固たる音を自分で持ってるから、ちゃんと音楽を聴くことのできる商品を企画して創ることができる。ツボがわかってるんだよね。分析的だとか音楽的だとか、そういう言葉遊びじゃなくて、「あ、こういうのが聴きたかったんだよね」という実感があるっていうか。そういうのが大事なんだと思うよ。